2009年05月27日

2009/5/26 HRW パキスタン:取り残された民間人のため、スワト渓谷の外出禁止令の解除を

パキスタン:取り残された民間人のため、スワト渓谷の外出禁止令の解除を
HRW 2009/5/26
http://www.hrw.org/ja/news/2009/05/26-0
(ニューヨーク)−パキスタン政府は、スワト渓谷(Swat valley)及びパキスタン連邦直轄部族地帯(Provincially Administered Tribal Areas :PATA)のマラカンド(Malakand)地域の隣接地帯において、5月18日に発令された24時間外出禁止令を直ちに撤回するべきである、と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。パキスタン軍がタリバーン反政府勢力との戦闘を繰り広げているこの地域では、食料、水、医薬品の不足が深刻となっており、いまだにこの地域に閉じ込められている数十万の民間人にとって、重大な人道上の危機となっている。
切羽詰った民間人が、食料や水を探すなどの理由や、あるいは、戦闘地域から逃げるため、外出禁止令を破って外に出て、パキスタン軍の砲撃や空爆の犠牲になったという絶え間ない報告を受け続けている。外出禁止令が発令されている場合であっても、国際人道法は、紛争の全当事者に対し、民間人犠牲者を最小限に留めるため、すべての必要な措置を講じるよう義務付けている。
「先週1週間ずっと出されたままの外出禁止令をパキスタン軍が直ちに解除しなければ、スワト地区に閉じ込められている人びとは、人道上の大惨事に直面する」とヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長ブラッド・アダムズは述べた。「パキスタン政府は、タリバーンを打ち負かす戦術だからといって、地元住民たちを、食料も清潔な水も医薬品もないままに閉じ込めて放置することなど許されない。」
スワト地区のカバル(Kabal)準県で退去を命じられた人びとのなかで、ガルジャバ(Guljaba)とアリグラマ(Aligram)の村々を立ち退くよう軍に命令された数千人の民間人たちが、ロワー・ディル(Lower Dir)の町チャクダラ(Chakdara)に閉じ込められたままであることを、ヒューマン・ライツ・ウォッチの調査は明らかにした。5月25日にヒューマン・ライツ・ウォッチに話した村民は、「自分たちは5月22日に軍から家を出るよう命令され、チャクダラか、その先の安全地帯に向かうよう言われた。」と述べた。しかしながら、同日中にチャクダラにたどり着くと、さらに前進することも戻ることも禁止された。チャクダラの町は、24時間の外出禁止令が出されたままである。逃げてきた民間人たちは、チャクダラには、避難所もなく、食料・水・医薬品も不足していると語った。閉じ込められた民間人たちは、多くが脱水症状などの健康上の問題を患っており、子どもたちがとりわけ弱く病気になりやすい、と伝えてきた。
マルダン(Mardan)及びスワビ(Swabi)に逃げ込んできたスワトの住民たちは、これらの地域でも、人道状況が悪化していることを伝えてきた。避難民たちは、ヒューマン・ライツ・ウォッチに対し、「主な食料が入手可能であっても、その価格が10倍も上昇した」、「水不足が重大な事態に達した」、「外出禁止令の継続は、住民が食料を求めて外に出るという冒険をおかすことが、命を危険に曝すことに直結することを意味する」などと報告した。遺体は埋葬されずに放置されており、重傷者たちも、スワト渓谷内の全ての医療施設が閉鎖され、医薬品が入手不可能なため、命をおとす危険に直面している。
「パキスタン政府は、スワト地区での大規模な人道的苦痛を速やかに緩和するため、食糧・水・医薬品を空から投下することも含めて、可能な全ての手段を講じるべきである」とアダムズは述べた。「両当事者とも、民間人が戦闘地域から逃れられるように人道的回廊を設置することが不可欠である。公平な立場で活動する人道援助団体が、危険な状態にある民間人を避難させ援助できるようにするためにも、人道的回廊が必要だ。」
ヒューマン・ライツ・ウォッチは、タリバーンが続けている即決処刑と、パキスタン軍の砲撃によって民間人犠牲者が出ていることについて、懸念を表明。スワト渓谷にあるクワザ・ケラ(Khwaza Khela)村からスワビ(Swabi)に逃げてきた国内避難民は、ヒューマン・ライツ・ウォッチに、村を砲爆撃しないよう、パキスタン軍検問所に要請しに行った10名の代表団に参加していたカリムーン・カーン(Kalimoon Khan)という名前の村民を、タリバーンが、5月18日に、地元のモスクで公開斬首したと伝えた。タリバーンは、彼らに、パキスタン軍への密告者であるという容疑をかけ、彼らのうち3名に激しい暴行を加え、カーンの首をはね、残りの者を追跡して殺すと脅迫した。また、ヒューマン・ライツ・ウォッチが話をしたある村民は、5月19日にあった激しい砲撃について説明した。その砲撃によって、村の民間人11名が死亡したが、その中にタリバーンは1人もいなかったとのことである。
一方、スワト地区にあるチャルバグー(Charbagh)村のある住民は、ヒューマン・ライツ・ウォッチに、5月12日にパキスタン軍がミサイルを発射、それが中央部の市場に命中し、住民1名が即死し、もう1名を負傷させたのだが、その時、村の中にタリバーンがいたような雰囲気や事情は全くなかった、と述べた。村民が現場に駆けつけて犠牲者の遺体を回収しようとしていた時、もう1発のミサイルが同じ場所に命中し、さらに9名を殺害、8名を負傷させた。2回目の攻撃の後、村民たちは恐怖のあまり、負傷者を助けに行けなくなった、とヒューマン・ライツ・ウォッチに述べた。しかし、負傷者の助けを求める叫び声を無視するのは無理だということも分かり、30分後に、さらに大勢の住民が遺体の回収と、負傷者の手当てに向かった、と住民は語った。だが、その次、3発目のミサイルがその地域へ落ちた。伝えられるところによると、一連の攻撃により、2名の子どもが怪我を治療する事が出来なかったために死亡。合計で、19名の民間人が殺害され、30名が負傷した。
戦闘が続いている地域へのジャーナリストや人権監視員の立入りが禁止され、閉鎖された軍事地域となっているため、現時点では、情報を独自に確認することは出来ない、とヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。地元ジャーナリストはその地域を離れており、また、軍はパキスタン人記者や外国人特派員の立ち入りを認めていない。
「民間人たちは、タリバーンによって苦しめられ続けているが、一方で、軍も、民間人の命を軽視し、戦闘地域からの民間人の脱出を不許可にしており、状況は更に悪化しつつある。」とアダムズは述べた。「もし、タリバーンを本当に打ち破りたいと考えているのであれば、パキスタン軍は、スワト地区の住民の苦痛を、悪化させるのではなく、和らげるよう行動しなければならない。」
posted by LMB at 20:28| Comment(0) | パキスタン難民 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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