2009年07月13日

2009/7/7 HRW イラン:拘束された人々への自白強要を止めよ

イラン:拘束された人々への自白強要を止めよ
Human Rights Watch 2009/7/7
http://www.hrw.org/ja/news/2009/07/07-3
(ニューヨーク)6月12日の大統領選以降、イラン当局は逮捕された人々に対し、長時間の取り調べ、むち打ち、睡眠妨害、拷問などを加え、虚偽自白を強要している、と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチが述べた。少なくとも既に20人が死亡した今回の選挙後の抗議運動の背景として、国外勢力の支援があり、しかも、目的はイランの政権転覆だった、とイランの政府高官らが証拠も示さず主張を続けているが、この主張を裏付ける自白を得るため、虚偽自白の強要が行なわれている模様である。
「イラン政府は、平和的なデモを暴力的に鎮圧したことを正当化するのに必死になっている」とヒューマン・ライツ・ウォッチの中東・北アフリカ局長サラ・リー・ウィットソンは述べた。「外国の策略だったという供述をとるために、逮捕者たちを殴りつけている。」
ヒューマン・ライツ・ウォッチは、逮捕されたものの釈放された人びとの聞き取り調査を行なった。その結果、イラン当局による逮捕された者たちに対する虐待・脅迫、そして虚偽自白の強要などの実態が明らかになった。
ある17歳の少年は、6月27日に逮捕され、7月1日に釈放された。彼は、取調官が、彼を含む他の被拘禁者たちに対し、虚偽の供述書にサインをさせた経緯をヒューマン・ライツ・ウォッチにこう語った。
   「最初の日、目隠しをされ、取調官に駐車場に連れていかれた。取調官は僕たちを48時間、一睡もさせずに立たせ続けた。最初の夜、取調官は僕たちの手を縛り、何度も警棒で殴った。それから、僕たちを罵り続けた。本当に恐ろしかった。みな恐怖とストレスから尿を漏らしていたよ。15歳位の子どもから70歳位の老人まで逮捕されていた。人びとは助けを請うて泣いてた。でも、警備の人たちは気にもかけなかった」
「目隠しをされたまま2日間取り調べを受けた後、洗いざらい質問された。出身校、両親の職業、投票した候補者、家族の中の高学歴者、軍関係者がいるかどうか。家族全員の名前を言わせられた。取締官たちは、容赦なく僕たちを脅かした。すごく恐ろしかった。人々の悲鳴と泣き声がこだましてた。」
「一度、大きめのパン切れを供給された。でも、水はなかった。最後の日、僕たちは目隠しをはずされ、一番下に『以上の供述に、すべて間違いはありません』と書かれた真っ白な紙に署名させられた」
イラン政府高官らによれば、逮捕された者たちが、諸外国勢力と謀略して「ビロード」革命を起こし、政権を打倒する謀略があったと自白したという。革命防衛隊内の最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイ代理Mojtaba Zolnourは、7月2日、一人をのぞき全ての目立った被拘禁者は現在自白していると語った。護憲評議会の高位メンバーであるアヤトラ・ジャン ナティは、逮捕された人々がした自白の一部をイラン政府が公表するだろうと、7月3日の自身の説教の中で述べた。
国営メディアは、すでに、逮捕された人々数名の自白を放送。6月27日、改革派の新聞「Andishe No」のアミル・ホセイン・マハダヴィ編集長は、イランのテレビに、6月12日の選挙前に、革命派グループが暴動の計画を練ったと自白した。その映像を見たマハダヴィの友人は、彼の様子から告白を強要されたのは明らかだと、ヒューマン・ライツ・ウォッチに語った。
イランのテレビへの出演を強いられた被拘禁者の中には、ニューズウィーク誌のイラン特派員マジア・バハリもいる。彼は、6月21日に拘束された。現在、テヘランのエビン刑務所に拘束中とみられる。過去何年間にもわたり、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、このエビン刑務所で行なわれた被拘禁者に対する虐待や拷問を調査して明らかにしてきている。弁護士も、一緒に暮らしている年老いた母親も、彼と面会することを許されなかった。バハリは、イランとカナダの二重国籍。彼に対する容疑は明らかにされていない。
6月30日、半官半民のファルス通信が報じたところによると、バハリが、記者会見で、1989年のチェコスロバキアの「ビロード革命」のときのようにイランでも蜂起を扇動する欧米メディアの取り組みを非難したという。これらの「非合法デモ」の取材における自らの役割を自白したという。ニューズウィーク誌は、バハリの無実を強く主張し、彼の即時釈放を求めた。
革命派指導者で、6月15日に当局に逮捕されたサイード・ハッジャリアンの妻、Vajiheh Marsousiは、夫が真実と異なる供述書に署名するよう、強く圧力をかけられたと確信している、と語る。エビン刑務所へ夫を訪ねた際、治療も受けられず衰弱した夫の姿から、夫の生命が危機にさらされていると感じた、と言う。
拘束が続くイランの被拘禁者の虐待に関する情報はあとを絶たない。7月1日、革命裁判所を訪れたある目撃者がヒューマン・ライツ・ウォッチにこう語った。
   「何百人もの収容者の家族たちが裁判所の前に集結した。裁判所の壁には1349名の収容者の名前を記した1枚の紙が貼られていた。これは直に解放される人のリストだった。また、違う紙には別の223名の名前があった。これは当局が捜査中の者のリストで、家族に2,3週間後に出直すよう伝えるものであった。裁判所の外で数時間ほど待っている間、多くの人が釈放されるのを見た。そのほとんどの人の顔と手には、あざがあった。そういった悲惨な状態の我が子をみて泣き出す家族もいれば、一方でリストに名前のない我が子の名を叫ぶ家族もいた。」
6月12日の選挙の結果、現職のマフムード・アフマディネジャド大統領が大勝したとの公式発表がされた。翌13日、当局は、テヘランやその他の都市で勃発した大規模抗議デモを終結させるため、全国規模で取り締まりを行い、何千人もを逮捕した。その後、当局は多くの被拘禁者を解放したが、新たに多くの者を逮捕している。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、6月13日以降に治安部隊が逮捕した450名の名前を集めた。そこには、百人を超える政治家、ジャーナリスト、人権擁護者、学者、弁護士なども含まれている。
拘禁中の有名な活動家たちのほとんどは、最大3週間、弁護士や家族との連絡を絶たれており、虐待や虚偽自白の強要の懸念が高まっている。
過去にもイラン政府は、政治犯の自白の強要のため、むち打ち、睡眠妨害、独房監禁、拷問、そして拷問の脅迫などを数多く行ってきた。そして、政府批判者たちの信頼性をを失わせ、処罰するため、政府は自白の内容を公表してきた。
こういった過去の拷問のため、ヒューマン・ライツ・ウォッチが接触した数名の有名な被拘禁者の親族や友人並びに専門家たちは、拘留中の拷問や、虚偽自白を強要させられる可能性について、懸念を示した。
国際人権法は「自白の強要」を含めた虐待から被拘禁者を保護することを明確に規定している。イランも批准している、市民的{しみん てき}および政治的権利{せいじ てき けんり}に関する国際規約(B規約)14条では、犯罪行為で起訴されたすべての人が「自ら選任する弁護人と連絡する」権利があり、「自己に不利益な供述又は有罪の自白を強要されないこと」と定められている。あらゆる形態の抑留または拘禁の下にあるすべての者のための諸原則21条では、「暴力や脅し、もしくは被拘禁者の判断能力を害する方法での取り調べを禁止する」と規定している。自白を含めた全ての供述において、拷問やその他虐待が行われた場合、その供述は証拠として扱われないというのが国際人権法の基本的原則である。
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