2009年07月13日

2009/7/12西日本 タイ「人身取引」闇深く 送り出し 日本で売春を強要 受け入れ 安い人材過酷労働 JICAが被害者支援

タイ「人身取引」闇深く 送り出し 日本で売春を強要 受け入れ 安い人材過酷労働 JICAが被害者支援
西日本 2009/7/12
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/108278
売春や強制労働などの人身取引が横行するタイで、国際協力機構(JICA)は被害者の保護・自立支援のプロジェクトに初めて乗り出した。タイでは女性がだまされて日本や中東に連れ出される被害が絶えない一方、経済成長を遂げた結果、ミャンマーなど周辺国から国内の劣悪な環境の工場などに次々と労働者が送り込まれている。人身取引の「送り出し」と「受け入れ」の2つの問題を抱える深刻な事態となっている。
 日本は地獄の日々だった。スナックと聞いていたが実態は売春。多い日は一晩で客10人。渡航費用などの名目で知らぬ間に500万円の借金を背負わされていた。祖国の家族に仕送りされているはずの金さえもピンハネされていた‐。
 織田由紀子さん(63)は最近、タイのシェルター(避難施設)に保護された30代のタイ女性の話に息をのんだ。「日本でいまだに起きていることに憤りを感じた」
 織田さんは3月まで日本赤十字九州国際看護大(福岡県宗像市)教授。長年、ジェンダー研究に取り組んだ実績を買われ、4月、JICAから社会開発・人間安全保障省の人身取引対策部に専門家として派遣された。
 同部を中心に各省や警察、入管、非政府組織(NGO)が事件ごとに被害者の救出から社会復帰まで手掛けるプロジェクト(多分野協働チーム)の運営を支援するのが役割だ。
■訴えて逆に白眼視
 人身取引の被害者として保護されたタイ人は、人身取引対策部のシェルター入所者だけでも2003年以降、1184人(今年5月末現在)。うち日本からの帰国者は210人を占める。性産業の場合、被害者が表に出たがらないため、この数字はあくまで氷山の一角にすぎない。
 タイ中部出身のニーさん(39)はパスポートを取り上げられ半年間、三重県で売春させられた。
 「日本のレストランで働けば月4万バーツ(約11万円)」。誘ってきたのは同郷の知人だった。日本で保護されて帰国後、タイ警察に訴えた。知人はブローカーとして暗躍していると分かったが、地元では裕福な実力者。訴えた被害者のニーさんが逆に村で白眼視される始末だった。
 「貧しい女性はお金になると声を掛けられると引っ掛かりやすい。ブローカーを罰しないと解決しない」。知人は実刑判決となったが、ニーさんは結局、地元を離れ、バンコクで被害者の保護活動を始めた。
■近隣3国から流入
 タイで急増しているのが隣国との人身取引だ。多分野協働チームが支援したケースでは、南部の海鮮食品工場で数十人のミャンマー人が働かされていた。工場内の狭い部屋に住まわされ、賃金も満足に支払われない。皮膚病を患っていた人も多かった。
 タイで保護された外国人被害者はラオス、ミャンマー、カンボジアが圧倒的。性産業にとどまらず、工場、漁業、農業などさまざまの分野に及ぶ。タイの経営者にとっては安上がりの格好の労働者。自分の意志で出稼ぎに来ても、劣悪な環境で監視状態に置かれるケースもある。
 米国務省の推計では、国境を越えた人身取引の被害者は年約80万人。タイと周辺国がその有力な舞台のひとつだ。JICAタイ事務所はタイのプロジェクトを足掛かりにミャンマーなどでも被害者支援を検討したいとしている。
■人身取引(トラフィッキング)
 国連のパレルモ議定書(2000年)は、搾取を目的にだましたり、脅したりして人を連れだし、働かせることと定義。売春に限らず、強制労働や不当な低賃金労働、臓器売買も含む。近年、国境を越えた人身取引が増大。麻薬、武器取引と並ぶ国際的な犯罪として問題化している。タイは08年に新たな人身取引法を制定、保護の取り組みや罰則の強化を定めた。男性も保護対象に含め、男性用のシェルターを新設した。
=2009/07/12付 西日本新聞朝刊=
posted by LMB at 16:11| Comment(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。