2009年09月03日

NGOと人道支援活動

NGOと人道支援活動 ギョーム・ダンドロー著 西海真樹/中井愛子訳 文庫クセジュ 白水社 2005/6/10 原書刊行1998

146ページから
人道活動は、アラン・デスクスが著書『不可能な人道活動または曖昧な二世紀』のなかで強調している次のことがらを自覚しなければならない。「人道活動は博愛の雲のなかではなく、戦場で、政治のただなかで展開される。それは普遍と個別とのつねなる隔たりのなかにあり、多くの矛盾のなかをたゆたいつづけ、すべて悪しき選択に直面している」。

−目次−



第一章 僧侶と看護者との緩慢な分離

T人道の源へ
1 キリスト教の伝統
聖ヴァンサン・ド・ポールの活動
2 啓蒙期の人道
啓蒙の精神
3 植民地化
4 戦場の瓦礫のなかの人道活動
細分化された規則
衛生部隊の不足

U 赤十字の夢
1 ソルフェリーノ
2 ソルフェリーノの教訓
3 赤十字の創設
4 人道活動のための技術

第二章 人道の実践−ヨーロッパから第三世界へ

T 人道の最前線−第一次世界大戦
1 赤十字−道徳的権威から実践へ
2 人道活動の領域の広がり
3 国際人道法の適応

U 人道的現実回避と全体主義イデオロギー
1 ボルシェヴィズム
2 ナチズム
条約の欠陥
合法主義の害毒

V 戦後の新状況
1 人道活動と戦後復興
人道法の拡大
難民の地位
2 第三世界の登場
冷戦と人道援助
3 第三世界のイデオロギー

第三章 無国境主義

T 主権と対峙する緊急性
1 ビアフラ
紛争の中心となった人道援助
2 人道的介入の先駆−バングラデシュ

U 新世代の登場
1 無国境主義の誕生
束縛を脱し世論に訴える
イデオロギーの退潮と積極的関与の必要性
唯一の人類の出現
新しい分野:緊急医療
2 無国境主義を生じさせた背景
周辺部の紛争
被抑圧者から被害者へ
難民の増加と人道の聖域
3 緊急事態の特殊性と証言の承認

V 政治的争点の中心にある人道援助
1 カンボジア−飢饉の操作
2 エチオピア−操作された飢饉

第四章 ベルリンの壁の崩壊と人道

T 仕掛けた罠に自分がはまる−近東での戦争の結果生じた人道問題
1 イラクという難問
2 救援にかけつける人道組織

U ソマリア−政治なき人道
1 地政学上見捨てられたソマリア
2 最初の人道的戦争

V ユーゴスラヴィア
1 受益者なき政策
2 人道活動の持続注入

W ルワンダ
1 二十世紀最後のジェノサイド?
2 キヴ危機すなわち「国際政治におけるバミューダの三角地帯」

第五章 人道の課題

T 人道の世界の環境変化
1 紛争の性質の変化
2 緊急援助および現地で活動するNGOの隆盛
緊急活動のための資金の増加
援助の道具化としてのNGOの役割の増大
危機の最中の援助活動
3 難民のイメージの変化
4 人道活動の後退
公的資金の減少
変化する関心
寄付の減少

U 介入の新たな要因
1 人道的介入権の確立
2 国家による人道活動
権力政治に取って代わる人道活動
いくつかの国では、緊急援助は大急ぎで開発援助の衰退に取って代わる
3 メディアの影響力
光の島
映像の支配
活動の動機としてのメディア
人道のメディア化への処方

V 人道の世界の構造化
1 NGOの増加と成長
NGOの重要性
2 調整と専門化
3 必要な透明性
4 公的資金の誘惑

結論

訳者あとがき


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2009年08月06日

国際協力の現場から

国際協力の現場から −開発にたずさわる若き専門家たち− 山本一巳・山形辰史 編 2007年5月 岩波ジュニア新書

−目次−

はじめに

1 逆境に立ち向かう

貧困削減 荻原烈(国際協力銀行ナイロビ駐在員事務所)

一日二四〇円
貧困とは−貧困の多面的理解
貧困の計り方
貧困削減へのアプローチ転換
貧困削減戦略の実施−一般財政支援と政策対話
貧困削減戦略の作成と実施の現場から

食料 高田美穂(元国連世界食糧計画プログラムオフィサー/現世界銀行ヤング・プロフェッショナル)

なぜ飢えがおこるのか
タンザニアの飢饉
飢饉を回避するには
村レベルの能力育成
女性たちによる自助組織
おわりに

ジェンダー 寺園京子(国連難民高等弁務官事務所スーダン国連ボランティア)

ジェンダーって?
なぜ開発にジェンダーが重要なの?
開発とジェンダーという仕事
スーダンで
おわりに

セックスワーカー 松野文香(元国連開発計画バングラデシュ事務所プログラムオフィサー/現国際労働機関本部およびバンコク事務所テクニカルオフィサー)

セックスワーカー支援プロジェクト−信頼失墜から回復へ
革新的な試み
立ちはだかる障害
人間開発への挑戦

難民 帯刀豊(国連難民高等弁務官事務所難民保護官)

難民とは誰か
難民問題の今日
難民保護のやりがい

2 子どもたちの未来のために

子どもの権利 本田涼子(元国連児童基金ガーナ事務所プログラムオフィサー)

世界が認めた子どもの権利
子どもの権利の実現は?
ニーズからライツへ
見えなかった部分が見えてきた
計画づくりにも子ども参加
子どものために、子どもとともに

子どもとエイズ 末廣有紀(元国連児童基金レソト事務所アシスタントプログラムオフィサー/現CARE USAシエラレオネ事務所コーディネーター)

はじめに
レソト−HIV/エイズ禍の大きさ
HIV/エイズ流行が子どもに与える影響
「子どもとエイズ」対策の四本柱
若者の新規感染を予防するために

教育 荻野有子(元バングラデシュ初等大衆教育省JICA派遣専門家/現株式会社コーエイ総合研究所主任研究員)

教育開発に向けた国際的取り組み
バングラデシュの現状
学校を魅力あるものにする試み
効果を広げていくことの難しさ
多岐にわたる課題と努力の継続

児童労働 松野文香(元国連開発計画バングラデシュ事務所プログラムオフィサー/現国際労働機関本部およびバンコク事務所テクニカルオフィサー)

CDWとは
CDWと人身取引
児童労働撤廃国際計画の取り組み
今後の課題

3 平和な世界を目指して

紛争 北原直美(国際協力機構南アフリカ事務所企画調査員)

紛争による女性の悲劇
女性の「心の平和」を踏まえた国際協力とは
「ひと」に焦点をおいた支援

武器と兵士 瀬谷ルミ子(元国連コートジボワール活動DDR担当官/現日本紛争予防センター事務局長)

1「紛争」「開発」そして「平和」
2「武器」と「兵士」とは?
3 現場での取り組み
政治交渉から武装解除へ
動員解除から社会復帰へ
残る課題
4 開発と平和に関わるということ

犯罪防止 ラッセルまり子(米州開発銀行国家市民社会近代化分野専門職員)

犯罪防止の重要性
犯罪防止と開発の関連性
IDBにおける試み
今後の課題

4 国際協力のアプローチ

開発援助 掘金由美(明治大学政治経済学部准教授)

開発、援助、国際協力
開発援助の変遷
援助の有効性を高めるために
パートナーシップと国際協力

技術協力 又地淳(国際協力機構国際協力専門員)

技術協力の変遷
技術協力とオーナーシップ
キャパシティ・デベロップメント
オーナーシップを重視した技術協力の実践
(1) プロジェクト実施を恒常的な任務と位置づける
(2) 日本側の関与を最小限に控えることにより、途上国側の主体性を引き出す
(3) 日本の過去の経験を開発途上国側が再構築することを支援する
(4) 幅広い関係者を巻き込む
現地における専門家の関わり方

農業開発 藤田達雄(国際協力機構ケニア半乾燥地コミュニティ農業開発計画チーフアドバイザー)

培われたアフリカ的合理性
成功事例−親族集団の役割
開発を牽引する力

環境保全 堤理恵(国連環境計画欧州地域事務所プログラムオフィサー)

国連環境計画とは
国家を超えた広域環境保全
カスピ海の環境保全
国境を越える環境影響評価
読者の皆さんへ

法制度改革支援 山田美和(日本貿易振興機構アジア経済研究所)

開発と法制度の関係
注目される法制度改革支援
法の支配、ガバナンス、腐敗
法制度改革支援の活動
法制度改革支援の担い手よりよい法制度改革支援のために

開発のための調査 牧田りえ(元国際開発センター/現University of Wollongong Centre for Asia Pacific Social Transformation Studies フェロー)

開発の限界と調査
異文化の中での奮闘
理論と実践の間で−開発は誰のために

<コラム>インフラストラクチャー 轟由紀(国連人間居住計画スリランカ 元グローバル・リスク・マネジメント(株)研究員)

おわりに
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2009年07月30日

国際正義の論理 押村高 講談社現代新書

国際正義の論理 押村高 講談社現代新書 2008年10月

−目次−

はじめに

ある書簡と演説・しょせんは正義よりパワーではないのか・グローバル化と正義論のリバイバル・日本にとっての国際正義・「善く生きる」ことを選択した戦後日本

第1章 正義に「国境」ができるまで
1 ポリスの正義
神話的世界では・アリストテレス・ポリスの正義とポリス間の無正義・異邦人の視点
2 古代コスモポリタニズムからアウグスティヌスへ
キケロ曰く・善き人間・世俗的正義の凋落
3 十字軍と宗教改革
異教徒との戦いは神によって正当化される・キリスト教徒がなぜ不正を働くのか・カトリック的正義の崩壊・世俗的境界の台頭

第二章 「国際正義」の誕生と変転
1 主権国家あるいは民族の正義
正義の「国有化」・プレーヤーの減少がもたらしたこと・合意は拘束する、他国を害してはいけない・民族の正義・道徳的白紙委任
2 商人の道徳、カントの平和論
商業道徳は国境を越える・国家同士の関係にも・カントと近代コスモポリタニズム
現状の維持から理念の追求へ
3 環境と人道がふたたび「国境」を無化する?
理想的ルール変じて・・・ ・ドナウ川の汚染、チェルノブイリの恐怖・無過失責任
ステークホルダー理論を応用する・国内アクターにもグローバルな責任・「人間の安全保障」・生存権ではなく政治的権利としての主権

第3章 正義の交錯としての戦争
1 主権が発動されるとき
どちらが不正か・グロティウスの論理・無差別戦争観・歴史という「世界法廷」・勝算があれば・・・ ・戦いかたのルール・「中立」という手段
2 戦争違法化の夢をシュミットは笑う
第一次世界大戦という悪夢・衝撃の余韻・戦争の違法化へ・ケロッグ=ブリアン条約・シュミットの批判
3 第二次世界大戦の戦後処理と正義
全体主義国家の挑戦・宥和政策の果て・第一次大戦に学んでいた戦勝者・戦争を犯罪として裁く・反実仮想と原爆投下の道義性?

第四章 人道的介入
1 「カント的世界」の自責
「新しい戦争」の時代・擬似国際正義の誕生・「カント的世界」の市民の道義感覚・マイケル・イグナティエフは言う・武力介入の是非・介入してしまえば比較検証はできない・合法的な介入とは
2 対テロ戦争をめぐって
多くの知識人までもが・深刻な波紋・民主的帝国の使命・アメリカの過剰な自負心・唯一の超大国を説得できない脆さ
3 国際刑事法廷と真実和解委員会
「移行期の正義」・国際刑事法廷のメリット・ガチャチャ・歴史の正しき位置づけによる修復・むずかしい問題も

第五章 貧困の放置は不正なのか
1 地球的な不平等
国家間のすさまじい所得格差・アマルティア・センの視角・風土原因論と西欧責任論・独立から数十年が経過して・これまでの責任概念の限界
2 豊かな国が支える歪んだ体制
一九九七年のアジア通貨危機・体制こそが不平等を生む・最低限の義務の不履行−ポッゲの責任論・構造的不正−ヤングの責任論
3 債務のくびき
わずかな見とおしに希望を託すが・・・・ ・グローバリズムにも責任・ネオ・リベラルは不道徳か

第六章 行動する主体と責任
1 ケーパビリティー・アプローチ
「誰が」「誰に」・善意ではなく義務として−シンガーの解決法・権利の主体と対象の曖昧さ・生きるに足る生活を得るための能力・さらなる議論を戦わせれば
2 ロールズ問題
むしろアンチ・コスモポリタン・その国の政府に任せるほうが・・・・ ・現実的で、保守的になる理由・ロールズを超えて
3 国内的社会正義と国際的連帯義務
一市民としての行為なら・こと税金となると・コスモポリタンVS.コミュニタリアン論争・実際上は

第七章 文明と正義
1 時代により、地域により
文明の数だけ・単数から複数へ・とどめを刺したのは・「世界価値観調査」から見えること・正義による統合の危うさ
2 「文明の衝突」への回答
経験的に共通項を見出すには・通訳不可能な部分・アメリカの国内正義は手がかりになるか・契約論的な正義・カッコにくくる
3 対話のルール
公と私の分離の限界・対話のルールと対話者の責任・カントによる自己の普遍的超越・ハーバーマスの「コミュニケイション的行為の理論」・スミスの「公平な観察者」とセンの「不偏不党」

第八章 人権をめぐる文明間対話
1 世界人権宣言
「西洋の正義」の結晶・圧倒的多数の賛成で・紙切れの威力・ヘルシンキ・プロセス
2 イスラームと共有可能な人権とは
ウィーン会議・シャリーアとの抵触・カイロ宣言とアラブ憲章
3 アジア的価値観
リー・クアンユーは説く・共同体の維持を優先させた理由・一九九七年の金融危機以降・「対話の積み重ね」がグローバルな正義への道・創造的対話とコミュニケーション

あとがき
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